このページは山本弘のSF秘密基地 ガチャポン・食玩の確率論の2005/01/10の時点のミラーです。更新履歴によると2003/06/02に作成されたもの。
ガチャポン・食玩の確率論
みなさん、ガチャポンや食玩で、「どうしても最後の1個が手に入らない!」とか「どうして同じものばかり出るんだ!?」と、イライラした経験はありませんか?
僕はしょっちゅうあります。必要のないセバスチャンやブラックサレナを、いったい何個出したことやら。ビルガモが4個続けて出た時には、運命の無情を覚えたものです(^^;)。最近では、昴もブラックローズも出ないのにバルムンクさんが5個もたまってしまったことがありました。
もちろん、たまにストレートにコンプリートすることはあります。ごくごくたまにですが……先日もバンダイの『ウルトラマン イマジネーション』を、300円で4回、計1200円できっちり4種類出しました。
4種類のガチャポンをダブらずにコンプリートできる確率はどれぐらいでしょうか?
最初の1個は何が出てもいいのですから、確率は1です。2個目は最初のとダブってはいけないので確率は3/4。3個目とは最初の2個とダブってはいけないので2/4……最後の1個を出す確率は当然1/4ですから、
1×3/4×2/4×1/4 = 9.4%
およそ11回に1回ということになります。
同様に5種類のガチャポンを5回で出す確率は、
1×4/5×3/5×2/5×1/5 = 3.8%
26回に1回ということになります。
6種類のガチャポンを6回で出す確率は、
1×5/6×4/6×3/6×2/6×1/6 = 1.5%
およそ65回に1回です。まさに、ラッキーと言えるでしょう。
実際にはこんなラッキーはめったに起きません。6種類を手に入れるためには、7回以上ガチャポンをまわすことを覚悟しなければならないのです。
本当に偏っているのか?
自分が狙っているものがなかなか出ないと、「アソートが偏っている」とか「店員が抜いているに違いない」と言う人がいます。
本当にそうでしょうか? 店の人やメーカーを疑う前に、ちょっと考えてみましょう。
それは「均等」と「ランダム」は違う、ということです。
当たり前のことのはずなのに、これを理解していない人が多い。百聞は一見にしかず。「ランダム」とはどういうことなのか、ちょっとシミュレーションしてみましょう。
シミュレーションに用いたのは、1-Aから10-Fまで、6種類各10枚、計60枚のコマです(ちなみに『アクワイア』というボードゲームのコマを使いました)。これを裏返しにしてよくシャッフルし、目を閉じて1枚ずつ引いていきます。それを5回繰り返しました。
下がその結果です。分かりやすくするため、Aだけ赤くしてみました。
| 1 | BCBCFA | BBABAD | FBDEEB | DEEAFF | AEDCBF | CCABAD | FDBCCC | EEEACA | CDDFEF | FFDDAE |
| 2 | BCFECE | FFCEDC | ECECDD | EEBAAA | DDCFFB | BFFEEF | ECBDDB | DAACFA | ADBBAB | BAAFCE |
| 3 | AABABA | ABAFBC | DEDCBE | EADCFE | DEFCDC | DBACFD | FDCDCF | EBDFEC | FFBEEB | AFCFAB |
| 4 | DDDDAE | CBFAFD | CDEECC | ABFBBF | EADEBD | AEFABC | FCACBA | FBEFAA | EFFCBD | DEBCEC |
| 5 | EBDCFD | DEDDDD | ABCAFC | BEBCFA | BCFDAE | BFBACB | AFDEBF | FEFCDC | FEACEA | ABACEE |
ご覧の通り、Aがぜんぜん均等に分布していません。特に2段目を見ると、21回もAが出なかったあと、続けて3個も出ています。3段目では、最初の9回のうち、Aが6個、Bが3個出ています。6回のうち1個だけAが出ることは少なく、まったく出ないか2個以上出る場合の方が多いのです。
「偏っている」と思われますか?
そうではありません。これが「ランダム」なのです。ランダムであるということは均等であることを意味しないのです。最終的にA~Fはすべて同じ数だけ出ますが、少ない試行回数で均等に出ることはめったにないのです。
これをガチャポンだと考えてみましょう。1段目から出しはじめた人は、コンプリートするのに16個も出さなくてはなりません。2段目なら22個です。「偏ってる!」と思いたくもなるでしょう。
それに対し、4段目なら9個でコンプリートできることになります。ラッキーですね。
あの1個がなかなか出ない
視点を変えてみましょう。
あなたが6種類のガチャポンのうち1種類をどうしても欲しいと狙っているとしましょう。1回だけまわして、目的のものが出ない確率は5/6です。2回ならば5/6の2乗、3回ならば5/6の3乗……というように、繰り返すほどに出ない確率は下がってゆきます。つまり出る確率は上がります。
これを表にしてみると、
| まわす回数 | 狙ったものが 出る確率 |
| 1 | 16.7% |
| 2 | 30.1% |
| 3 | 42.1% |
| 4 | 51.8% |
| 5 | 59.8% |
| 6 | 66.5% |
| 7 | 72.1% |
| 8 | 76.7% |
| 9 | 80.6% |
| 10 | 83.8% |
| 11 | 86.5% |
| 12 | 88.8% |
| 13 | 90.6% |
| 14 | 92.2% |
| 15 | 93.5% |
| 16 | 94.6% |
| 17 | 95.5% |
| 18 | 96.2% |
| 19 | 96.7% |
| 20 | 97.4% |
| 21 | 97.8% |
| 22 | 98.2% |
| 23 | 98.5% |
| 24 | 98.7% |
| 25 | 99.0% |
ご覧のとおり、約半数(51.8%)の人は、4回目までに狙ったものが出ます。
その一方、およそ10人に1人は、13回まわしても狙ったものが出ません。また、100人に1人は、不幸なことに、25回まわしても出ないのです。
その「1人」があなたではないという保証はどこにもありません。
「狙ったものが出るまでまわし続ける」という行為が、大きなリスクをはらんでいることがお分かりでしょう。「もう一回だけ」「今度こそ」とむきにならず、適当なところであきらめて切り上げないと、出費がかさむばかりです。
コンプリートするのにいくらかかる?
6種類のガチャポンをコンプリートするのにどれぐらいお金がかかるかを計算してみましょう。平均的な200円のガチャポンで考えてみます。
| 残りの個数 | 期待値(回) | 金額(円) |
| 6 | 1.0 | 200 |
| 5 | 1.2 | 240 |
| 4 | 1.5 | 300 |
| 3 | 2.0 | 400 |
| 2 | 3.0 | 600 |
| 1 | 6.0 | 1200 |
| 合計 | 14.7 | 2940 |
なんとまあ、平均して15回、約3000円の出費を覚悟しなくてはならないのです。ストレートにコンプリートすれば1200円で済むのに。
ちょっとご注意。ここに示したのはあくまで期待値です。実際には3000円もつぎこまずにコンプリートできる場合もありますし、3000円以上かかってしまうこともあります。
特に「最後のひとつ」がくせものです。最後の1種類を出すのに平均して6回、1200円も注ぎこまなくてはいけません。
ということは、無理して6種類目を出そうとするのは愚かです。ここまでにあなたは、すでに平均1740円も使っているはずです。残りの1種類はマニアショップで買うことをおすすめします。ショップでは1個200円以上、時として500円とか700円とかいう値がついていますが、それでも1200円より安いなら、あなたにとっては安い買い物なのです。
これをお読みのショップの店員さんへ。
「1200円以下なら安いのか。じゃあもっと高くしていいんだ」
と勘違いしないでください。これはその商品が、お客さんにとって「最後のひとつ」だった場合の価値にすぎません。それをすでに持っている人にとっては、価値はゼロなのですから。
僕としては、「200円のガチャポンのショップ価格は、レアでないかぎり490円が上限」と考えています。なぜなら、1個あたり490円以下なら、バラで6個購入しても合計金額は2940円以下になり、ガチャポンをまわすより有利になるからです。
それに買う側の感覚として、200円で手に入るものに、その何倍もの額は出したくないですしね。
戦略は人それぞれ
では、最後の1種類になったら必ずショップに買いに行った方がいいのでしょうか? そんなことはありません。それはあなたがここまでにどれだけ注ぎこんだかによります。
たとえば1000円を使って5回まわしたら、運良くダブらずに5種類揃ったとしましょう(こうしたことが起きる確率は9.3%です)。この場合、あと4回まわしてみることをおすすめします。なぜか? あと4回まわす間に6種類目が出る確率は52%(1-5/6の4乗)で、半々よりやや有利です。たとえ出なくても、ここまでに投資した額は1800円で、5種類を手に入れるための期待値(1740円)とほぼ同じです。つまり、あなたはまだ60円しか損をしていないのです。
とりあえず、出費を期待値以下に抑える方法を考えてみましょう。いろいろな考え方がありますが、僕が提案するのはこういう方法です。
まず、5種類揃うまでまわします。
5種類目が出た時点で、まわした回数が9回未満なら、9回になるまでさらにまわします。9回まわして6種類目が出なかったなら、ショップに買いに行きます。6種類目が1140円(=2940円-これまでの出費)以下であったなら購入します。
すでに9回以上まわしているなら、すでにあなたの投資額は期待値を上回っているので、そこでやめます。やはり(2940円-これまでの出費)以下の額で、6種類目をショップで購入します。
ただし、運が悪いと、5種類を出すまでに3000円以上を使ってしまうこともありえます。5種類目と6種類目がそれぞれ400円ぐらいでショップで売られていると仮定すると、手元には800円ぐらい残しておきたい。とすると、5種類目が出なくても11回(投資額2200円)でやめるべきでしょう。
もちろんこれはひとつの戦略にすぎません。他にもいろいろな考え方があります。
●「わざわざガチャポンを回さなくても、ショップに出回るのを待ってセットで買えばいいじゃないか」
ごもっとも。ショップでは6種類セットで1200円とか1500円とかいう値段で売っていることがよくあります。純粋に投資額だけ考えれば、それを買うのがいちばん安上がりなんですよね。
でも、人より早く手に入れたいのが人情ですし、何よりもガチャポンはまわすのが楽しいんですから。やはりショップで買うのは最後の手段にしたいですね、個人的には。
●「4種類まで揃った時点でショップに行くのが得策である」
これも一理ある考え方です。なぜなら、5種類目を入手するための期待値は3、つまり600円必要ですが、ショップでならまず600円以下で買えるはずだからです。
しかし、これもやはり、「早く手に入れたい」という人情を考えると、必ずしも最適の選択とは言い難い。できるならばガチャポンだけでコンプリートしたいですからね。
●「いくらダブってもいい。ダブった分はショップに売りに行けばいいんだから」
こういう考え方もあります。たとえば6種類コンプリートするまでに15個出したとして、ダブった9個を売った場合、1個あたり100円で引き取ってもらえるとしたら、あなたの出資額は3000-900=2100円で済むわけです。
結局、あなたが「安さ」と「早さ」のどちらを重視するか、という問題になってきます。あなたが金に糸目をつけない性格なら、期待値なんて気にせずに、じゃんじゃんコインを投入し、強引にコンプリートすればよろしい。手に入れるのが遅くなってもいい、余分な金は一銭も払いたくないという性格なら、最初からガチャポンは無視して、ショップでセットを購入するのが正しい選択です。
食玩は振ってみよう
食玩の場合も、1シリーズ6種類のもの(コナミの「SFムービーセレクション」とか)については、確率は同様に考えてかまいません(レアやシークレットについては、面倒なのでここでは考慮に入れません)。
ただし、ガチャポンと違う要素が2つあります。
第1に、ガチャポンはその場でカプセルを開けて、ハズレだったらまた回す……ということができますが、食玩は買ったその場で箱を開けて中身を確認するという人はあまりいないでしょう。どうしてもまとめ買いになってしまいます。
第2に、食玩は箱を振ってみることで、音や重さから、ある程度まで中身の見当がつけられます。つまりダブる確率がガチャポンより小さいのです。
仮に、ある箱を振ってみて、前の箱のどれかと同じ音であることを当てられる確率が1/2だとしましょう。その場合、2個目が1個目とダブらない確率は、
| 正しく判定 | 間違って判定 | |
| 1個目とダブっていた場合 | 1/12 | 1/12 |
| ダブっていなかった場合 | 10/12 | - |
1個目とダブっていると判断されれば棚に戻されますから、ダブらない確率は赤で示された数字の分子の合計を分母にすることになり、10/11ということになります。
同様に3個目の箱の場合、
| 正しく判定 | 間違って判定 | |
| 1個目とダブっていた場合 | 1/12 | 1/12 |
| 2個目とダブっていた場合 | 1/12 | 1/12 |
| ダブっていなかった場合 | 8/12 | - |
この場合、確率は8/10になります。
同様に、300円で全6種類の食玩の確率を考えてみると、
| 残りの個数 | 確率 | 期待値(個) | 金額(円) |
| 6 | 1 | 1.00 | 300 |
| 5 | 10/11 | 1.10 | 330 |
| 4 | 8/10 | 1.25 | 375 |
| 3 | 6/9 | 1.50 | 450 |
| 2 | 4/8 | 2.00 | 600 |
| 1 | 2/7 | 3.50 | 1050 |
| 合計 | 10.35 | 3105 |
というわけで、あなたが1/2の確率で同じ音であることを聴き分けられるなら、10~11個ぐらい買えばよいということになります。ガチャポンよりはずっと有利ですね。
とはいうものの、これは種類が少ない場合にのみ可能なこと。全20種類ぐらいの食玩になると、音を聞き分けるのは至難の技と言えます。やはり確率の問題になってしまうんですね。
出費を半額に抑えるには
では、全20種類の食玩をコンプリートする確率を考えてみましょう。
| 揃った個数 | 残りの個数 | 未入手のものを 出すための 期待値(個) |
ここまでの 期待値の合計(個) |
| 0 | 20 | 1.00 | 1.00 |
| 1 | 19 | 1.05 | 2.05 |
| 2 | 18 | 1.11 | 3.16 |
| 3 | 17 | 1.18 | 4.34 |
| 4 | 16 | 1.25 | 5.59 |
| 5 | 15 | 1.33 | 6.92 |
| 6 | 14 | 1.43 | 8.35 |
| 7 | 13 | 1.54 | 9.89 |
| 8 | 12 | 1.67 | 11.56 |
| 9 | 11 | 1.82 | 13.38 |
| 10 | 10 | 2.00 | 15.38 |
| 11 | 9 | 2.22 | 17.60 |
| 12 | 8 | 2.50 | 20.10 |
| 13 | 7 | 2.86 | 22.96 |
| 14 | 6 | 3.33 | 26.29 |
| 15 | 5 | 4.00 | 30.29 |
| 16 | 4 | 5.00 | 35.29 |
| 17 | 3 | 6.67 | 41.96 |
| 18 | 2 | 10.00 | 51.96 |
| 19 | 1 | 20.00 | 71.96 |
コンプリートするための期待値は72個。150円の食玩なら1万800円……「食玩なんて安いもの」と思いがちですが、コンプリートしようとするとこんなにかかっちゃうんですね。
特に最後の方の期待値の上昇に注目。最後の3種類を手に入れるための期待値は、計36.67個、つまり1万800円の約半分は最後の3種類のために費やされるのです。
「あとたった3種類でコンプリートなんだけどなあ」と思いながら買い続けると、まんまとワナにはまってしまうわけですね。
さすがに1万円以上は使いすぎです。そこで出費を半額の5400円前後で抑えられる方法を考えてみます。
まず「最後の4種類は必ずショップで買う」と、最初から決めます。ショップでは定価よりやや高い200円程度で売られていると仮定しますと、購入に必要な金額は4×200=800円。ということは、4600円で16種類を手に入れられればいい、ということになります。
4600円なら30個買えます。上の表を見てください。期待値からすると、30個買えば16種類は手に入るはずなのです。
とはいうものの、期待値はあくまで期待値。30個買っても15個以下しか揃わない場合もあるでしょう。
そこでまず、20個買ってみます。コンプリートできる可能性はほとんどないでしょうが、期待値からすると、これで13個ぐらい揃うはずです。
予算はあと2400円。この時点で、まだ8種類しか揃っていないなら(そんな可能性はあまりないと思いますが)、買うのをやめてショップに行き、残り12種類を2400円で購入します。
9種類以上揃っているなら、もう4個買ってみます。予算はあと1800円。この時点で11種類以下しか揃っていないなら、残りはショップで購入します。
12種類以上揃っているなら、さらに4個買ってみます。予算はあと1200円。この時点で14種類以下しか揃っていないなら、残りはショップで購入します。
15種類以上揃っているなら、さらに2個買います。予算はあと900円。ここまでで、何種類揃っていようが、買うのをやめます。
この方法なら、5400円をせいぜい数百円しか上回らない出費で、コンプリートが可能です。
表にまとめてみましょう。
| 買う個数(合計) | 買い続ける | もう買わない |
| 20 | 9~19種類 揃っている |
20種類揃っているor 8種類以下しか揃っていない |
| 24 | 12~19種類 | 20種類以上or 12種類以下 |
| 28 | 15~19種類 | 20種類以上or 14種類以下 |
| 30 | - | 何種類であろうと |
ついでに、1セット15種類の食玩の場合も考えてみましょう。15種類だとコンプリートのための期待値は約50、単価が250円なら、1万2500円かかることになります。
ショップでの平均価格を300円とし、出費を半額の6250円で抑えようと思うなら、次のような買い方をおすすめします。
| 買う個数(合計) | 買い続ける | もう買わない |
| 15 | 8~14種類 揃っている |
15種類揃っているor 7種類以下しか揃っていない |
| 19 | 11~14種類 | 15種類以上or 10種類以下 |
| 23 | - | 何種類であろうと |
直感を信じるな
お間違えなく。ここに示した戦略は、あくまでひとつの例にすぎず、理想的な購入方法ではありません。何が「理想的」かは、予算をどれぐらいに設定するか、ショップでの価格をどれぐらいに見積もるかによって変化します。
ガチャポン・食玩で共通しているのは、運に頼ってコンプリートしようとすると、出費の約2/3は残り1/3を入手するために費やされるということです。15種類の食玩の場合、最初の10種類を入手するのに必要な期待値は15.5個ですが、残り5種類を入手するにはその2倍以上、34.3個も買わなくてはなりません。
「もう2/3揃ったぞ。あと1/3なんて楽勝じゃん」
そう考えたくなるのは人間として当然ですが、確率論的には誤っているのです。あなたは残り1/3を手に入れるために、これまでの出費の倍額をさらに費やさなくてはならないのです。
確率はしばしば人間の直感を裏切ります。自分の直感を信じないことと、ショップを有効に活用することが、余計な出費を抑えるコツと言えるでしょう。