時間が逆行するといわれる所以 Edit

山本弘の特殊相対性理論の理解はどこかおかしい。

【山本弘の発言】

「俺たちが秒速100万kmで飛んだことを忘れるな。相対性理論では、光の速度を超えたものは過去に戻ってしまうんだ」
 これが間違いであることはすでに述べた通りです。たとえ秒速100万kmで飛んだとしても、それは地球から見て1秒後に100万km離れた場所に移動しているということにすぎず、決して過去に戻ったことにはならないんです。
 この誤解はけっこう広く信じられているらしく、星野之宣氏の初期短編にも、光速を超えてしまった宇宙船が過去の世界に戻ってしまうという話がありました。

【引用終わり】

 相対性理論では時間を普遍的なものとは扱わないのだから、常にどの観測者にとっての時間であるかを留意しなければならない。彼はミンコフスキー図における傾斜が0~45度の範囲の超光速と0~-45度の範囲の超光速の違いにこだわりたいらしいが、残念ながらこの傾斜は観測者の慣性系によって変わるので、あまり意味がない。

 ある観測者から見れば30度の傾斜であるかもしれないし、別な観測者からみれば-30度の傾斜であるかも知れない。これはある観測者にとっては宇宙船は過去に戻っているように見えるし、別の観測者にとっては過去に戻っていないように見えることを意味する。これは同一の物体を観測しても観測者によって相対速度が異なって観測されるのと同じであり、なんら不思議なことではない。観測者によって物体が右に進むか左に進むかという方向を含めて相対速度が変わるように観測者にとって順行するか逆行するかという方向を含めて時間の進む相対速度は変化する。

 一方ある物体が光速を越えているか否か、言い換えれば傾斜が45度より大きいか小さいかは観測者の相対速度に拠らずすべての観測者にとって同一である。時間が逆行するか否かの分岐点はここにあるのであって、山本弘が述べるように傾斜が0度よりも大きいか小さいかという部分にはないのである。

 それゆえ一般に『光速を越えると時間が逆行する』と説明される。

90度倒せば相手の時間になる? Edit

山本弘は長年特殊相対性理論を勘違いしていたらしい。彼はミンコフスキー図を示し、

【山本弘の発言】

 じゃあ、タキオンから見るとどうなるのか? この図を反時計回りに横倒しにしてみれば一目瞭然。

 早い話が、タキオンにとっての時間を我々にとっての距離に、タキオンにとっての距離を我々にとっての時間に置き換えてやればいいのです。

【引用終わり】

ミンコフスキー図を90度回転させれば相手の視点になると思い込んでいた。SF等で語られる「光速を超えると時間と空間が入れ替わる」という大味な説明をどこかで勘違いしてしまったようだ。超光速航行をネタにした作品を書いているSF作家にしてはややおそまつといわざるをえない。

【山本弘の発言】

実は僕の考えには重大な問題があるんですね。(略)タキオンが光を発するとしたら、その光円錐はどうなるのか?考えられるのは、光円錐もタキオン同様、横倒しになるということです。(略)タキオンの側から見ると、A-O-Bの光円錐はやはり双曲面になってしまうからです。それにタキオンと我々の世界の関係が非対称になるというのも、相対性理論の基本概念からは望ましくないことです。

【引用終わり】

本人が「自分の考えは問題がある」と述べているのだから山本弘が相対性理論を間違って理解していたのは誰も異論のないことだろう。しかし

【山本弘の発言】

 この矛盾を解消する最も単純な方法は「タキオンなんか存在しない」ということにしてしまうことです(笑)。いや、ほんと、それが一番簡単なんです。

【引用終わり】

二次方程式の解は放物線と直線の交点としてプロット可能だが、解が虚数になる場合は交点をプロットすることができない。図示できないから矛盾だというのは、虚数解は矛盾であると考えるのと同じレベルに過ぎない。タキオンの存在を認めると様々な問題が生じるのは事実だが、それは山本弘のいうような「ミンコフスキー図では上手く表せない」からではない。それは山本弘が頭を悩ませている地点よりも遙か先にある。

光速を超えると過去へ訪問?
光速を超えると過去へ訪問?part2

タイムマシンの話―超光速粒子とメタ相対論 Edit

余談だが山本弘は「タイムマシンの話―超光速粒子とメタ相対論 ブルーバックス 都筑 卓司 (著)」の愛読者らしく、しばしばこの本を引用している。それはいいのだが山本弘個人のトンデモ理解とこの本の内容は別物であることに留意されたい。たとえば

【山本弘の発言】

『タイムマシンの話』をお持ちなら、その171ページの図も90度横倒しにしてみてください。エネルギーと運動量の関係も入れ替わります。タキオンにとってのエネルギーは、我々にとっての運動量。

【引用終わり】

この本でエネルギーと運動量のグラフが通常の物質とタキオンで点対称になっていることが紹介されているのは事実だが、それは類似性と数学的な美しさを紹介しているのであってそれ以上のことは書かれれていない。「タキオンではエネルギーと運動量が入れ替わる」というのは山本弘の「思いつき」に過ぎない。SFのネタであればそれでいいのかも知れないが、物理学ではグラフが似ているから同じものという考えは論外であろう。

また山本弘のものではないが山本板でこの本が多世界解釈に言及していないことを著者が無知であるかの如く述べている発言があった。啓蒙書にも固めの本と柔らかめの本がある。この本は固めの本であり、評価の定まっていない説をむやみに採用してはいない。この本は30年前に書かれた同タイトルの本の新装版である。その間になされた科学的発見などで若干修正がされているが大部分は当時の記述を踏襲している。30年前にこの本を手にした高校生が今や中堅の研究者として活躍しているのである。その重みを鑑みればこのような発言はできないと思うのだが…


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Last-modified: Mon, 04 Apr 2005 23:48:37 JST